非正規雇用の契約社員の格差は「不合理」 最高裁判決で不合理な格差は違法

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我が子や孫が生きる未来の職場環境は変わる

郵便局で配達業務を行っていた非正規雇用である契約社員らが、年末年始の手当支給などの待遇について正規社員との格差是正を求めた最高裁への訴訟で、最高裁は「不合理な格差があり違法」との判決を言い渡しました。

正社員と非正規社員の待遇格差を正すにあたっては、仕事の難易度や責任の重さに応じて個別に判断すべきだと最高裁は結論づけたのです。

日本の雇用形態は日本独自の制度で組み立てられてきました。45年ほど前に社会人になった私の時代は、終身雇用、退職金、定期昇給、家族的社員関係、半強制的な社員旅行など、会社の規模に関係なく「あるのが当たり前」の制度でした。家族手当や住宅手当、保養所の有無などの福利厚生制度は、就職活動での企業選択の重要な要素でもありました。新卒で就職した会社は定年まで勤めあげるのが普通の時代でしたから、中途採用で大企業に転職するのはヘッドハンティングでもない限り不可能に近い時代でもありました。

時代は大きく変わりつつあります
知人の30代の息子は、理工系大学院を卒業後、日本を代表する超巨大企業に就職したものの、数年後に未上場の新興企業に転職。「大企業で将来の生活も安定しているだろうにもったいないな」と漏らした親の声に、「安定性を求めて働く社員が多い会社に未来はない」と。
転職先の会社には退職金制度はなくその分は給与に上乗せ、一般の会社にあるような福利厚生制度もほとんどないようです。それでも様々な企業からの転職者が中心のこの会社は、入社数年後には東証1部上場企業に成長しています。

日本の人口は2060年には8000万人になるとの予測があります。現在人口の64%程度になる。その時、日本の社会は、企業は、雇用制度はどうなっているでしょうか?

我が子や孫が暮らす日本の未来の社会の在り様は、現在とは様変わりをしているだろうと誰しもが思うはずです。数十年後に大きく変わるのか、じっくり時間をかけて変化していくのかはわかりません。今回の新型コロナは従来発想や働き方を、変える大きなチャンスを与えてくれました。

新卒だろうと中途採用であろうと、職務習熟度の能力差、転勤対応の有無など勤務体系に応じて給与格差があるのは当たり前。学歴ではなく、新卒中途採用の差でもなく、正規・非正規社員の区分けなどなく、求められる職務への能力のみで評価されるのであれば、自分の能力に適した職場を選択することができることで、人材の流動化が進み、企業も活性化すると思います。

(今日の読売新聞/朝刊より)

 

 

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